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被服支廠の活用策 協力事業者を公募 広島県

 広島市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(南区)で、広島県は所有する3棟の利活用の方向性を検討するため、協力事業者を選ぶ手続きを始めた。有識者懇談会の運営を手伝ってもらい、複数の「実現可能性のあるアイデア」を2022年度末までにまとめる方針だ。事業費は2200万円を見込んでいる。

 公募型プロポーザルで参加を申請した事業者に、27日までに懇談会の委員や開催回数などを盛り込んだ提案書を出してもらう。30日にはウェブで説明を聞き、「類似業務や過去の実績」「懇談会の委員の選定理由」などを基準に計150点満点で採点。同日に最優秀の提案者を決める。

 県は3棟を耐震化する方針を決め、有識者たちでつくる懇談会で22年度末までに利活用の方向性をまとめる方針を示している。「建物の活用では多様な意見があり、活用策を早急に決定するのは困難」とみて、専門的なノウハウを持つ事業者の協力で実現性の高いアイデアを募る構えだ。

 県は懇談会の委員に、県内外のバランスに留意して5~15人程度を想定している。民間活用の可能性を探るためのヒアリングも計画する。県は「懇談会が方向性をまとめれば、最終的に県、広島市、国の3者で利活用策を議論して決める」としている。(河野揚)

「耐震化費用に」広島県へ100万円 大杉組が寄付

 土木工事の大杉組(三次市)は、「旧陸軍被服支廠」の耐震化費用として、3棟を所有する広島県に100万円を寄付した。大杉正子社長(65)と夫の博樹専務(66)が、県の耐震化方針を歓迎して寄付を決めた。

 正子社長は父と祖母、博樹専務は祖父が被爆者で、存廃が議論されてきた被服支廠の保存を願っていたという。正子社長は「どんどん被爆建物が少なくなる中、貴重な被服支廠を残すための費用に使ってほしい」と望んでいる。

 県によると、専従班を設けた2020年度以降で、被服支廠に関する寄付は初めてという。杉山亮一経営戦略部長が7月30日に同社を訪ね、夫妻に湯崎英彦知事名の感謝状を渡した。

(2021年8月26日朝刊掲載)

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