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広島復興の記録次代へ 広島市中区の明田さん 市公文書館に写真10万点から寄託

 戦後の広島をファインダー越しに見詰めてきた写真家明田弘司さん(90)=広島市中区=が、被爆地の復興を記録した写真を市公文書館に寄託する。撮りためた約10万点から、似たカットを外すなど対象を絞り、電子データ化して託す考え。同館は、来年開設する所蔵品データベース(DB)に専用コーナーを設ける方針だ。(門脇正樹)

情報量豊富 高い資料価値

 往時のにぎわいを取り戻しつつある本通り商店街(撮影年1955年)、お好み焼きの屋台が並ぶ東新天地公共広場(同56年)、夏の甲子園で優勝した広島商高野球部の凱旋(がいせん)パレード(同57年)…。同館の中川利国館長は「構図がいい上、情報量がとにかく多い。時代背景がよく分かり、資料価値が高い」と評価。所蔵品DBのコーナーは「明田資料(仮称)」とする予定だ。

 明田さんは呉市出身。第2次大戦中は陸軍に所属し、旧満州(中国東北部)で主に航空写真の現像を担当した。復員後の1948年、中区に写真店を構え、愛好者仲間とヒロシマ・フォト・クラブを結成した。

 この年、日本の報道写真の草分けとされる名取洋之助(1910~62年)と出会い、「広島の復興を記録すべきだ」との助言を受けたという。「いつか役に立つと信じて街の記録を撮り続けてきた。一点でも多く預け、広島の足跡を世に広めたい」と明田さん。家族や知人の協力を得ながら、写真やネガの選別と電子データ化に取り組んでいる。

(2013年8月6日朝刊掲載)

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