×

ニュース

軍需工場に動員 境遇「恐ろしい」 市女資料 後輩の舟入高生が閲覧

 舟入高(広島市中区)の3年生が、校内で保管されている前身の広島市立第一高等女学校(市女)の戦時中の学徒動員に関する資料を閲覧した。軍需工場などで働かされた先輩たちの境遇に思いを巡らせた。

 普段は校長室と図書室にしまわれている資料のうち約15点。河村侑哉さん(17)と三谷春馬さん(17)が手袋をはめて一枚一枚丁寧にめくり、劣悪な労働環境を記録した報告書や「学校報国隊出動令書」、軍需工場へ動員中に死亡した生徒の関連書類に目を通した。

 「どれも生々しい。紙1枚の指示で働かされ、ほとんど勉強できなかったなんて今なら考えられない」と河村さん。三谷さんは「自分がこういう生活を強いられていたら、と想像すると恐ろしい」と力を込めた。

 7月の本紙連載「市女 学徒動員の記録」を読んだ河村さんが閲覧を希望したのがきっかけ。大半は紙質の劣化が進む。柳智子校長は「約80年前の資料を手にし、感じることも多いはず。慎重に扱いながら、希望に応じて閲覧の機会を検討したい」と話した。(桑島美帆)

(2021年8月30日朝刊掲載)

年別アーカイブ