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被爆遺構「保存・活用議論を」 広島市議会に県原水協など 市は一部保存案

 サッカースタジアム建設予定地(広島市中区)で出土した旧陸軍の輸送部隊「中国軍管区輜重(しちょう)兵補充隊」の被爆遺構を巡り、広島県原水協など3団体は30日、市議会に遺構の保存活用を議論するよう要望した。一部を切り取り保存する市の方針については、スタジアム建設を急ぎ、専門家の意見聴取が不十分と指摘している。

 要望書は、市による現地説明会が1日だけで、対象人数も60人だったと指摘。市民に意見を求め、専門家の意見を聞く場を設けるべきだとした上で、原爆遺跡の保存を求める1990年の市議会決議を踏まえ、より良い保存に向けた議論をするよう求める。

 市議会棟で県原水協の高橋信雄代表理事から要望書を受け取った山田春男議長は「各会派に要望を伝えて議会でも議論したい」と答えた。遺構は、市が2024年のスタジアム完成を目指す中央公園広場の発掘調査で見つかった。市は厩舎(きゅうしゃ)の床面など3カ所を切り取って移設する方針を示している。(新山創)

(2021年8月31日朝刊掲載)

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