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広島きょう原爆の日 核の非人道性訴え

 米国による原爆投下から68年。広島は6日、原爆の日を迎えた。広島市は午前8時から、爆心地に近い中区の平和記念公園で原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)を営む。終日、鎮魂と平和への祈りに包まれる被爆地。核兵器の非人道性を訴え、廃絶を求めるヒロシマの声を、国際社会と日本政府により強く届ける。(下久保聖司)

 式典は最初に、松井一実市長と遺族代表2人が原爆死没者名簿を原爆慰霊碑に納める。この1年で亡くなったか、新たに死亡が確認された被爆者は5859人。名簿は2冊増えて104冊、28万6818人となる。これとは別に長崎で被爆し、遺族の希望で広島に納められる9人分を記した名簿も1冊ある。

 原爆投下時刻の午前8時15分、遺族代表の大学職員佐古田史織さん(32)=安佐北区=と、こども代表の袋町小6年伊藤麟太郎君(11)=中区=が突く「平和の鐘」の音を合図に、参列者全員で黙とうをささげる。

 平和宣言で松井市長は、偏見に苦しみ、健康被害を抱える被爆者5人の体験談を引用し、核兵器を「絶対悪」とあらためて否定。広島を「憲法が掲げる平和主義を体現する地」と強調し、世界の指導者に廃絶を求める。

 日本政府には、核兵器の非人道性に焦点を当てて廃絶を訴える国々との連携を求めるとともに、核拡散防止条約(NPT)に加盟していない核保有国インドに原発を輸出する交渉を進めていることに懸念を表明する。

 こども代表の吉島東小6年竹内駿治君(11)=中区=と、口田小6年中森柚子(ゆず)さん(11)=安佐北区=が「平和への誓い」を読み上げた後、安倍晋三首相、湯崎英彦広島県知事があいさつ。国連の潘(バン)基文(キムン)事務総長のメッセージは、ノリーン・ヘイザー国連アジア太平洋経済社会委員会事務局長が代読する。

 各国の来賓は70カ国と欧州連合(EU)の代表が参列する。うち、米国のジョン・ルース駐日大使は昨年に続き3回目。核兵器保有5大国では、中国を除く4カ国が参列する。

(2013年8月6日朝刊掲載)

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