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「高い熱量 広島のおかげ」 「孤狼の血 LEVEL2」 白石和弥監督 アクション満載 呉中心にロケ

 オール広島ロケの映画「孤狼の血 LEVEL2」が上映中だ。2018年公開の前作に続くシリーズ第2弾。作品の大部分が呉市で撮影され、カーチェイスなどのアクション満載に仕上がった。白石和弥監督(46)は「広島人の心の熱さ、土地が持つ歴史の重みのおかげで熱量の高い映画ができた。うちらの映画じゃ、と胸を張ってほしい」と語る。(木原由維)

 前作の3年後の1991年という設定。暴力団担当刑事の日岡(松坂桃李)は、服役中だった組員の上林(鈴木亮平)の出所などにより、次第に窮地に追い込まれていく。前作の原作となった作家柚月裕子さんの同名小説シリーズの、1作目と2作目の間の時期に焦点を当てたオリジナルストーリーだ。

 呉市を中心に昨秋、約1カ月半にわたるロケを敢行。新型コロナウイルス禍を受け首都圏のスタジオで撮影する案も出たが、「呉で撮らないと成り立たない」と地方ロケに踏み切った。白石監督は「映画づくりの喜びに、みんな涙ながらに現場入りしてくれた。本作ほど武者震いしたことはなかった」と振り返る。

 日岡が警察署から飛び降りるシーンや上林とのカーチェイスなどアクションをふんだんに盛り込んだ。前作同様、激しいバイオレンス描写があり、息もつかせない。凶暴性と狂気をまとった上林の存在感も圧巻で、白石監督は「日本映画史に残る悪役を作れた」と強調する。

 物語には回想シーンとして、広島市の原爆ドームや平和記念公園に加え、かつて「原爆スラム」と呼ばれた地に立つ基町アパート群も登場する。白石監督は「ほんの短いシーンだが、予算度外視で大がかりなセットを組んだ。物語の根幹で絶対に必要だった」と思いを込める。

 「どんよりとしたムードが漂う今こそ、送り出すべき力強い作品になった」と白石監督。「映画館でパワーを持ち帰ってもらえたらうれしい」と顔をほころばせた。R15+指定。

(2021年9月4日朝刊掲載)

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