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「平和の発信に活用を」 旧陸軍遺構巡り広島で集会

 サッカースタジアム建設予定地の中央公園広場(広島市中区)で出土した旧陸軍の輸送部隊「中国軍管区輜重(しちょう)兵補充隊」施設の被爆遺構について考える集会が3日、中区であった。広島大の藤野次史名誉教授(考古学)が講師を務め、遺構を可能な限り保存して平和の発信に生かす重要性を解説した。

 藤野氏は軍馬の厩舎(きゅうしゃ)などの遺構を写真で紹介し、現存状況は「極めて良好」と指摘。原爆投下直後の航空写真で被爆がはっきり確認できるとし、「広島市が平和を創出し、国内外に発信する上で重要な遺構だ」と訴えた。

 その上で、遺構の一部を切り取って移設する市の計画の発信力を疑問視。海外の事例を参考に、現状のままできる限り残した上にスタジアムを建てて地下に遺構の展示スペースを設けることを提案した。集会は、被爆遺構の活用を推進する市民団体が開き、約20人が参加した。

 市は一部を切り取る作業に近く着手する方針。3日にも作業を始める予定だったが、雨天のため4日に延期した。(水川恭輔)

(2021年9月4日朝刊掲載)

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