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国、被服支廠を初調査へ 所有1棟 安全対策を検討

 広島市南区にある最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」で、4棟のうち国所有の1棟について、国が初めて建物の強度を調査することが7日、分かった。劣化状況を把握し、必要な安全対策を検討するとしている。

 ほかの3棟は、所有する県が5月に耐震化を決め、「2棟解体、1棟の外観保存」とする安全対策の原案を事実上転換した。これを受けて国は「県や市との議論を踏まえ、適切に対応する」としてきた。国が新たに安全対策を検討する方針を示したことで、全棟保存へ一歩前進する形となる。

 管理する中国財務局によると、れんが壁やコンクリートの強度を試験したり、床や屋根の劣化度を調べたりして、耐震診断をする。県による昨年10~11月の調査とほぼ同じ内容で、終了は本年度末を見込む。その後にまとめる安全対策の内容については「今後検討する」と説明している。

 国所有の1棟を巡っては、田村憲久厚生労働相が8月6日に現地を視察した際、保存を選択肢として検討する考えを示していた。(河野揚)

(2021年9月8日朝刊掲載)

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