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社説・コラム

『書評』 「原発漂流」 河北新報社編集局編

 東京電力福島第1原発事故から10年を機に、原子力政策の問題と現状を描いた河北新報社の連載記事が「原発漂流」として出版された。

 当時、東電や原子力行政のエリートたちが冷静な判断力を失ったのはなぜか。なぜ事故前から大津波の危険が指摘されながら放置したのかを検証。核のごみ最終処分地など、幅広いテーマの今をコンパクトにまとめている。

 福島や青森をはじめとする東北各地は、原発関連施設を受け入れることによって潤ったが、事故から10年たっても廃炉作業など、結局原発に頼らざるを得ない実情が伝わってくる。(河北新報出版センター・1650円)

(2021年9月10日朝刊掲載)

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