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原爆症認定 年内の最終報告 指示 首相 対象拡大・迅速化へ

 安倍晋三首相は6日、原爆症認定の拡大、迅速化に向け、厚生労働省の「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」の最終報告を年内にまとめるよう、田村憲久厚労相に指示したと表明した。認定をめぐる訴訟が相次ぐ中、見直し作業を急ぐ構えだ。

 広島市の平和記念式典に出席後、中区のホテルであった「被爆者代表から要望を聞く会」で明らかにした。

 検討会は2010年12月に設置。08年に認定要件を緩和して導入された新基準でも申請却下が続いたのを受け、民主党政権が設けた。制度見直しを求める被爆者団体の代表に、安倍氏は「検討会でより良い制度になるよう議論している。年内に報告をまとめるよう急がせる」と話した。

 認定要件が緩和されて以降も、申請却下を不服とする被爆者が提訴。原爆症認定集団訴訟全国弁護団連絡会(東京)が把握しているだけで広島、東京、熊本などの各地裁で計約100人が訴えている。大阪地裁は2日の判決で原告の被爆者8人全員を原爆症と認め、国に認定を義務付けた。

 続く記者会見で安倍氏は、4月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の準備委員会で日本政府が「核兵器の人道的影響に関する共同声明」への賛同を見送ったことについて、「わが国を取り巻く厳しい安全保障上の環境を踏まえざるを得ないのも事実。今後同様の声明に参加する可能性を真剣に探る」と述べた。(城戸収、野崎建一郎)

(2013年8月7日朝刊掲載)

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