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核保有国の温度差鮮明 広島被爆68年式典参列 

米大使は無言退席 英仏は不拡散に意欲

 広島市中区の平和記念公園で6日にあった平和記念式典には、70カ国と欧州連合(EU)の代表が参列した。核兵器保有五大国からは、米国、ロシア、フランス、英国の4カ国が出席。中国は5年連続で欠席した。近く離任するジョン・ルース駐日米大使の言動が注目されたが、無言のまま被爆地を後にした。(桑島美帆、小笠原芳)

 原爆を投下した米国の代表が式典に出席するのは4年連続。ルース大使は、2010、12年に続き3回目となり、神妙な面持ちで臨んだ。10年には米国大使館を通じてコメントを発表したが、12年と今回は発表せず、式典終了後の報道陣の呼び掛けには、3回とも応じなかった。

 学徒動員中に広島中央電話局で被爆した豊後恵美子さん(83)=広島市中区=は「何も言わずに帰るのはひどい。被爆地で米大使が発言すれば平和のために大きな力になったのに」と残念がる。

 英国、フランスの両代表は、核不拡散に向けて意欲をみせた。英国のティム・ヒッチンズ大使は「英国は20年までに保有する核兵器を25%削減する」と核軍縮に積極的に取り組む姿勢を強調。フランスのフランソワ・グザヴィエ・レジェ臨時代理大使も「核軍縮を続けるよう努力する」と述べた。

 一方、松井一実広島市長は平和宣言で、日本政府が核拡散防止条約(NPT)に加盟していない核保有国インドと原子力協定交渉を進めていることについて「核兵器廃絶の障害になりかねない」と懸念を示したが、インド代表は取材に応じなかった。ロシアと、NPTに加盟せず保有するパキスタンの代表は問い掛けに答えなかった。

(2013年8月7日朝刊掲載)

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