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人権担当の補佐官新設 外交・安保政策を発表 自民総裁選で岸田氏 核軍縮で国際社会リード

 自民党総裁選に立候補を表明している岸田文雄前政調会長(広島1区)は13日、国会内で記者会見し、外交・安全保障の基本方針を発表した。中国・新疆ウイグル自治区での人権侵害などに対応する人権問題担当の首相補佐官を新設すると表明。核軍縮の前進に向けてはバイデン米大統領との信頼関係構築が最優先だとし、核兵器禁止条約への批准、署名に慎重な考えを改めて示した。(下久保聖司、境信重)

 総裁選公約の第3弾。①民主主義を守り抜く②わが国の平和と安定を守り抜く③人類に貢献し国際社会を主導する―の「3つの覚悟」を示すと強調。覇権主義的な動きを強める中国や北朝鮮への警戒、圧力を緩めない一方、日米同盟をさらに強めていく考えで、安倍政権の外交路線継承をにじませた形といえる。

 民主主義を守る上で国際的な人権問題に向き合う構えを示し、担当の首相補佐官の新設は「わが国の意識を国際社会に示す意味でも重要だ」と述べた。

 核軍縮と核不拡散体制の強化に向けて「リーダーシップの発揮が求められている」と決意を示した。核兵器禁止条約の参加にはなお慎重な構えで「米国とともに核兵器のない世界を目指す上での歩みを進めていく。日本が置かれた立場として果たすべき責任だ」と述べた。「非核三原則」を堅持すると訴えた。

 弾道ミサイルを相手国領域内で阻止する「敵基地攻撃能力」の保有については「有力な選択肢だ。国民の命や暮らしを守るため、ぜひ議論したい」と述べた。中期的な防衛装備の詳細を定める2019~23年度の「中期防衛力整備計画(中期防)」の見直しに言及。「結果的に防衛費は増額になる」とした。

 アフガニスタンへの自衛隊機派遣を踏まえ、海外での邦人救出を巡り「現地の安全が確認されないといけないという規定に矛盾を感じる人も多い」と語り、自衛隊法改正を検討する考えを示した。

(2021年9月14日朝刊掲載)

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