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連載・特集

緑地帯 梟の眼と愛 出原均 <1>

 廿日市市のアートギャラリーミヤウチで、「梟(ふくろう)コレクション 志條みよ子の眼と愛」展が開催中である。1966年から86年までの約20年間、広島市内で「画廊梟」を営んだ志條みよ子さん(1923~2013年)は、手元に200点余りの絵を残していた。それが公益財団法人みやうち芸術文化振興財団に一括して寄贈され、お披露目として企画された。

 同展の準備作業に私も関わらせていただいた。同画廊を調査した経験があったからである。もう十数年前のことだが、広島市現代美術館に勤めていた時、運営母体の市文化財団が毎年(のち、隔年)発行している「美術ひろしま」の編集に加わることになり、そこで広島の画廊を紹介する連載を立ち上げたのだ。

 芸術家や作品だけでなく、画廊や美術館、収集家や観客も含めた総体で広島の美術界を捉えたい、とくに公的機関よりも資料が散逸しやすい民間の活動を記録に残したいと考えての企画だった。その第1回に選んだのが、当時すでに伝説と化していた画廊梟だった。

 インタビューと資料調査のために伺った佐伯区杉並台のご自宅が今も思い出される。白を基調にした家の玄関には、同じく白い額縁に入った福井芳郎の絵が飾られていた。幾つかあった絵の中でも特に印象深い一点だった。

 この絵は志條さんのお気に入りだったらしい。今回の展覧会でも来場者が最初に見るように展示している。(ではら・ひとし 兵庫県立美術館学芸員=神戸市)

(2018年4月18日朝刊掲載)

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