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平和願う砂紋 全米から動画 被爆者・田中さんがデザイン 22日 枯れ山水庭園など14ヵ所

 被爆者の田中稔子さん(82)=広島市東区=がデザインした砂紋を、米国内の12カ所の枯れ山水庭園が熊手で引いて動画に収め、21日の国連「国際平和デー」にオンライン配信する。有志の5庭園による行事だった昨年から、北米日本庭園協会(事務局・オレゴン州ポートランド)が主催する第1回「平和のための庭」(ガーデンズ・フォー・ピース)に発展した。

 フロリダ大ハーン美術館(フロリダ州)、フォートワース植物園(テキサス州)など9州の庭園。戦争中に日系人強制収容所があったマンザナー国定史跡(カリフォルニア州)など枯れ山水のない2カ所も含め、計14カ所が参加する。

 2年前、ハーン美術館のマーティン・マッケラーさん(71)が「自分たちにできることで平和を表現したい」と中国新聞ヒロシマ平和メディアセンターに相談したことから始まった。壁面七宝作家の田中さんとつながり、デザインを依頼した。田中さんは「へ」「い」「〇(わ)」を組み合わせた文様を考案。友人で広島YMCA(中区)職員の中奥岳生さん(60)が作業の様子を撮影し、米側と情報共有した。

 田中さんは6歳で被爆してやけどを負い、友人を失った体験を証言してきた。米国での平和行事の広がりに、「平和は共通の思い。文化交流を通して、被爆者がいない将来も続けてほしい」と喜ぶ。同協会のマリサ・ロドリゲス局長は「来年以降は広島、日本や欧州の日本庭園や茶室を持つ施設にも参加を呼び掛けたい」と話している。

 動画公開は日本時間22日午前2時開始(全編英語)。https://najga.org/gardensforpeace2021/(湯浅梨奈、金崎由美)

(2021年9月20日朝刊掲載)

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