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被爆体験継承・カブトガニ保護 命の尊さ訴え作品展 笠岡の土屋さん

 広島市で入市被爆し、岡山県笠岡市でカブトガニ保護に取り組んできた日本カブトガニを守る会名誉会長で元教諭の土屋圭示さん(85)=同市富岡=の手掛けた紙芝居や写真、被爆体験の手記などを並べた展示会が7日、同市中央町のギャラリーひらたで始まった。作品を通じて、原爆の悲惨さやカブトガニ保護の重要性を訴える。11日まで。入場無料。(谷本和久)

 題して「わが人生の〝ピカドンとカブトガニ〟」。表皮が垂れた被爆者、川にあふれる遺体など原爆投下後の広島の惨状を描いた紙芝居や絵画、被爆体験の手記、関連の書籍に加え、カブトガニの生態をとらえた紙芝居、写真パネル約100点を展示している。

 広島県・江田島の陸軍基地にいた土屋さんは原爆投下後の1945年8月6日午後、広島に入り被爆者の救護に当たった。その後、岡山県内で教員となり笠岡の中学校に勤務していた1961年にカブトガニと出合った。

 当時、研究者から「干拓事業で生息地を奪われたカブトガニが水を欲しがりながら死んだ」と聞かされ、水を求めて亡くなった被爆者の姿とダブらせた。これを契機にカブトガニの生態を研究、保護に取り組むと同時に、被爆の惨状を絵画や手記に残すようになった。

 昨秋の交通事故で重傷を負いながら助かった命の尊さを感じ、今回の展示会を思い付いた。土屋さんは「被爆体験とカブトガニ保護を訴えるのが平和への道」と強調する。

(2013年8月8日朝刊掲載)

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