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自民総裁選 4氏政策点検 <上> 核政策

 自民党総裁選に立候補した河野太郎行政改革担当相、岸田文雄前政調会長(広島1区)、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行が、広島と深く関わる「核政策」「地方活性化」「政治とカネ問題」の3テーマでどんな主張を展開しているのか。中国新聞のインタビューを軸に、討論会での発言などを踏まえ点検する。(桑原正敏)

三原則 岸田氏ら「堅持」 禁止条約 国際情勢を意識

 国是である「持たず」「つくらず」「持ち込ませず」の非核三原則。見直しに言及する候補はおらず、河野、岸田、野田の3氏は「堅持」、高市氏は米国の差し出す「核の傘」を前提に「尊重」とした。

 被爆地が地元の岸田氏は堅持を即答。日本を取り巻く安全保障環境を見渡し、「北朝鮮に大量破壊兵器の放棄を訴える中、見直しを議論することは間違ったメッセージを与える」と考える。野田氏は「日本は唯一の被爆国。しっかり守っていく」とする。

 河野氏は2010年、北朝鮮の核開発を念頭に見直しを「議論すべきだ」と発言していたが、「近年は米中対立などがあり、常に状況を見ていく必要がある。三原則を堅持しながら、日米でどう抑止力を高めるか議論したい」と述べる。

 唯一「尊重」とした高市氏は「米国の核の傘が機能する限り、核兵器を保有することは考えていない」との見解も示した。

 1月に発効した核兵器禁止条約に対し、政府は一貫して「署名、批准の考えはない」のスタンスだ。現時点で参加するべきだとする候補はいない。野田氏は国会での議論に前向きな姿勢を示す。

 岸田氏は、バイデン米大統領がオバマ政権の「核兵器なき世界」の理念を引き継いでいる点を重視。「米国は世界最大の核保有国であり、唯一の同盟国。トップ同士で信頼関係をつくり、日本だけでなく米国も条約へ連れて行きたい」と見据える。

 河野氏は「条約を支持している国々と核兵器廃絶のゴールは共有している」と語る。優先するべきは軍備増強を続ける中国を核軍縮交渉のテーブルに乗せることだとし、「核兵器を一定数下げてから核廃絶への議論をするのが現実的だ」との見解を示した。

 高市氏は「条約は非保有国からも支持を得られていない状況。すぐに署名するのは考えにくい」と政府見解を踏襲する考え。核廃絶に向けて「広島や長崎の被爆の実態をもっと世界に知ってもらうべきだ」と、情報発信の強化を取り組みの一例に挙げた。

 野田氏は国会で条約参加の是非を議論をする意向を示す。「核兵器をやめようという条約ができたのは時代の変化。重く受け止める」と評価。核の傘に守られている矛盾を踏まえつつ、米国と核軍縮に向けて「トップ同士で話し合いたい」と述べた。

(2021年9月25日朝刊掲載)

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