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原爆死没者名簿93冊 25万8310人分「風通し」

■記者 東海右佐衛門直柄

 広島市中区の平和記念公園で20日、原爆慰霊碑の石室に納められている原爆死没者名簿を取り出し、外気に当てる「風通し」があった。25万8310人分を記した93冊が、梅雨入り前のさわやかな風と日光を浴びた。

 原爆の投下時刻に合わせ、市職員12人が午前8時15分に黙とう。白い布を敷いた碑前に名簿を並べ、1ページずつ傷みや変色がないかどうかを確認した。保存状態は良好だった。

 まだ記載できる1冊を除き、この日のうちに石室に戻す。昨年の8月5日以降に亡くなったり、死亡が確認されたりした約5300人をこの1冊と新しい名簿に書き加え、8月6日の平和記念式典で慰霊碑に納める。

 市は毎年この時期に風通しをしている。今年は開始時間を昨年までの午前9時半から原爆の投下時刻に変更。初めて修学旅行の児童、生徒を招待し、山口市名田島小の6年16人と、岐阜市岐北中の3年約250人が見守った。岐北中の安田まどかさん(14)は「名簿を見て、こんなに多くの方々が亡くなったと知り驚きました」と話していた。

(2009年5月20日夕刊掲載)

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