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平和学習の場や物産館に改修 広島マツダ、原爆ドーム隣ビルで計画

 マツダ車を販売する広島マツダ(広島市中区)は8日、原爆ドーム(同)の隣に所有するオフィスビルの改修計画を発表した。ビル名を「広島ピースタワー」(仮称)として、平和記念公園を見渡す展望テラスや平和学習にも使える会議室、物産館を新設する。2015年夏の開業を目指す。(山瀬隆弘、加納亜弥)

 ドームの東90メートルに立つ12階建ての「広島マツダ大手町ビル」を改修する。屋上を13階とし、「平和の丘」と呼ぶ約700平方メートルの展望テラスを設ける。展望テラスは300円程度の入場料を検討している。12階は「平和会議場」と名付け企業に貸し出すほか、部屋が空いているときは、平和学習の場として無料で開放する。

 1階は物産館とし、地元の食品などを販売する。3~11階は貸事務所。ビル東側には13階まで歩いて上れるらせん状のスロープをつくり、戦前から広島の歩みを紹介する写真パネルを並べる。壁は木製の目隠しや植栽で覆い、景観に配慮する。

 原爆資料館の入館者の3分の1に当たる年38万人の一般利用を見込む。事業費は約40億円。この日、ビルで会見した松田哲也社長は「ドーム周辺に憩いの場をつくり、広島の復興の歩みや美しい街並みを世界に伝えたい」と強調した。

 三分一博志建築設計事務所(中区)が設計する。ことし12月に着工。被爆70年の15年5月の完成を計画する。

 広島県被団協(金子一士理事長)の吉岡幸雄副理事長(84)は「被爆体験を語る場所は少なく、とてもありがたい」と期待。もう一つの県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之事務局長(71)は「被爆地の民間企業が平和活動に注力するのがうれしい」と話した。

≪広島ピースタワーの概要≫

階数     用途
14     機械室
13     平和の丘(展望テラス)
12     平和会議場(会議室)
3~11   事務所
2      バックヤードなど
1      物産館、休憩所
地下1、2 駐車場など

(2013年8月9日朝刊掲載)

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