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社説・コラム

JICAだより 岡本雄壮さん(61) ひろしま国際センター研修部次長兼研修課長

ヒロシマは復興の希望

 広島県の外郭団体、ひろしま国際センターの研修部(東広島市)は、国際協力機構(JICA)が受け入れる途上国からの研修員への研修事業を行っている。「広島平和学習プログラム」の一環で、「原爆・ヒロシマの真実」「広島の復興と平和構築への取り組み」への理解を促し、母国に戻って世界平和に貢献してもらう狙いである。

 海外からの研修員は原爆資料館と平和記念公園を見学し、広島の復興をテーマにした講義を受ける。紛争が現在も続いていたり、紛争が終わって復興の途上であったりする国からやってきた方々も多い。

 「友達、家族、次世代に平和の知識を引き継ぐ」「広島市民が街を再興し、世界平和の遺産となっていることに感銘を受けた」―。これらは研修を受けた後のコメントだ。プログラムが、核兵器による被害の実相を伝えると共に、廃虚から復興した広島の姿を通じて自国の復興への希望をもたらしていることを実感している。

 1月にプログラムに参加したパレスチナ解放機構(PLO)難民問題局長のアブホリ氏からは「人間の死と破壊から復興発展へのつながりを学んだ」との感想をいただいた。「戦争は全てを奪い去るが、その後には『失望』『戦争に訴えて復讐(ふくしゅう)』『平和に向けた復興』の選択肢がある。日本は三つ目を選んだ。全ての土地に平和をもたらすことは重要である」との言葉に感激した。

 JICA研修員が一人でも多くこのプログラムに学び、世界平和に向けて各国で活動してもらいたい。

(2020年7月5日中国新聞セレクト掲載)

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