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『ひと・とき』 写真家 土田ヒロミさん

福島の「痛み」を表現

 被爆資料を淡々と撮った作品「ヒロシマ・コレクション」などで知られる。原発事故の影響が広がる福島へ東京から通い、撮りためた新シリーズを、広島市内の4会場で公開。放射能汚染の「見えない」脅威をどう表現するか、「広島での経験を踏まえて挑んだ」。

 福島県飯舘村の森に取材した作品は、プリントを箱状に加工して並べた。箱の厚みはさまざまで、人と森との「距離」が揺らぐ。「自然との共生関係が壊れた感じを表した」。中区上八丁堀のギャラリーGで11日まで展示している。

 中区袋町の旧日本銀行広島支店の展示(13日まで)は、現地の春夏秋冬の風景がスライド上映され、福島民謡が流れる。「ちょっと情緒的過ぎたか」と語るが、この美しさに触れ難くなってしまった痛みを伝える。(道面雅量)

(2013年8月10日朝刊掲載)  

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