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児童の平和教育に地域差 ナガサキ・ユース代表団が調査 戦争被害多いほど学習機会

 核兵器廃絶を目指し長崎から国内外に発信する活動をしている「ナガサキ・ユース代表団」9期生の大学生9人が「日本の小学校における平和教育の地域差」を調査し、報告書にまとめた。「全国で平和教育の機会や内容が偏っており、課題もある」と結論づけた。

 調査は「グーグルフォーム」を使い実施した。47都道府県の平和教育の頻度や内容について、20歳前後の若者1486人から回答を得た。広島、長崎、沖縄の3県と、44都道府県を北海道・東北、関東、中国、九州など7地方、さらに海外を加えた計11地域を比較。解析結果について長崎大で報告会を開き、その模様をオンラインでも配信した。

 平和教育を受けた頻度は西日本が多い傾向にあり、北海道・東北は長崎の半分以下だった。「戦時中に空襲などの被害があった地域ほど平和学習の機会が多い」とし、体験証言活動や地域の資料館の有無といった「教育資源」の差が表れている可能性を指摘した。

 広島県出身者の間では、原爆について頻繁に学んだ一方、沖縄戦や他の地域の戦争被害について知る機会はあまりなかった、とする回答が多かった。海外と比べて日本は「自国の戦争加害の歴史や、現在の世界の紛争に関する学習機会が少ない」とも分析した。

 ナガサキ・ユース代表団は、長崎県などでつくる核兵器廃絶長崎連絡協議会の人材育成プロジェクト。調査のきっかけは「長崎県外の人と交流すると、原爆被害への意識にギャップを感じるから」。代表で長崎大3年の有吉亜樹人さん(22)は「自分たちの活動も、感情豊かな小学生の頃の平和学習が原点。原爆や戦争のことを、一地域にとどまらない日本の歴史と捉え、教育機会を確保してほしい」と話した。(湯浅梨奈)

(2021年10月4日朝刊掲載)

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