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大阪原爆症訴訟控訴せず 広島の原告が評価と注文

 近畿地方の被爆者8人の原爆症認定をめぐり国が敗訴した大阪地裁判決について、安倍晋三首相が控訴しない方針を表明した9日、広島地裁に同様の訴えを起こしている被爆者たちは決断を歓迎し、迅速な救済に期待を寄せた。

 原告27人がいる広島地裁での訴訟で弁護団事務局長を務める二国則昭弁護士は「適切な判断。積極認定の方向性を示した」と評価した。広島をはじめ各地裁で係争中の同様の訴訟について「国は判決を待たず、却下処分を取り消す決断をすべきでは」とも述べた。

 広島訴訟の原告、内藤淑子さん(68)=広島市安佐南区=は「うれしいことだけど、認定の範囲を明確に示したわけではない。もっと踏み込んだ説明が聞きたい」と求めた。

 広島県被団協の坪井直理事長(88)は「よくぞ言った」と安倍首相の判断を喜んだ。安倍首相は広島原爆の日の6日、原爆症認定に関する厚生労働省の有識者検討会の最終報告を年内に取りまとめる方針も示した。坪井理事長はこれについても「しっかり実行してもらわないと」と期待した。

 もう一つの広島県被団協(金子一士理事長)の吉岡幸雄副理事長(84)は「新基準を定めてから進展してこなかったこと自体がおかしい。今後、全ての被爆者を救ってほしい」と注文した。

 広島市の松井一実市長は「高齢化し病気に苦しむ被爆者の救済につながる。引き続き早急な制度の見直し、必要な措置を講じることを望む」とのコメントを出した。(長久豪佑、岡田浩平、新山京子)

(2013年8月10日朝刊掲載)

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