×

ニュース

「黒い雨」原告以外の広島市民 被爆者手帳 11日集団申請

 広島への原爆投下後に降った「黒い雨」を巡る訴訟の広島高裁判決の確定や原告以外の黒い雨被害者も救済する政府方針を受け、原告側弁護団は5日、訴訟に参加していない被害者が被爆者健康手帳の交付を求め、11日に広島市へ集団申請すると明らかにした。申請者は数十人規模としている。

 申請するのは、弁護団などが9月に開いた相談会に参加した市在住の人たち。弁護団によると、市外に住んでいる人は書類の準備が整い次第、居住地の自治体の窓口へ個別に申請する。原告以外の申請者は今後、さらに増える見通しだ。

 黒い雨被害者を広く被爆者と認めるには従来の基準を改定する必要があり、厚生労働省と広島県、広島市が連携して作業を進めている。ただ市援護課によると、7~10月に4回、オンラインで協議したが、目立った進展はないという。

 集団申請について同課は「基準改定後、早急に被爆者と認定できるよう、申請者が雨を浴びた状況や書類の確認といった審査を支障のない範囲で進めておきたい」としている。

 7月14日の広島高裁判決は、黒い雨が国の援護対象区域よりも広範囲に降ったと認定。被爆者認定は「放射能による健康被害が生じることを否定できないと立証すれば足りる」と判断し、原告全員に手帳を交付するよう命じた。菅義偉前首相は上告断念を表明し、原告の勝訴が確定。政府は、訴訟に参加していない人の救済も早急に検討するとの首相談話を閣議決定した。(松本輝)

(2021年10月6日朝刊掲載)

年別アーカイブ