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被爆 心身の傷痕 全国優勝の五日市高生作品 NHK・FMで16日

 NHK杯全国高校放送コンテストのラジオドキュメント部門で優勝した五日市高(広島市佐伯区)放送部の作品「114ノキズアト」(7分間)が、16日午前9時からのNHK・FMの番組で放送される。被爆者に取材して制作し、初めて全国の頂点に立った。

 インタビューした被爆者は、路面電車の女性運転士を養成する広島電鉄家政女学校の生徒だった増野幸子さん(83)=中区。1945年8月6日、爆心地から約2・1キロの皆実町(現南区)にあった学校の寮で被爆し、爆風で背中に114のガラス片が刺さった。

 戦後は兵庫県の紡績工場で働いた。風呂場で同僚に被爆したと話すと、「毒が移る」とみんな出て行ったという。「なぜ、こんなつらい目に遭わないといけないのか。私が悪いのではない。戦争のためにこうなってしまった」と訴えている。

 作品では、傷ついた増野さんをかばった仲間の優しさも紹介している。部長の2年田中佑季さん(17)は「全国の人たちに原爆の事実と、被爆者が受けた差別について知ってほしい。人の心を思いやることの大切さも伝えたい」と話している。

 ラジオドキュメント部門には、全国から437点の応募があった。五日市高の作品は「難しいテーマをよく調べ、丁寧に作っている」「真正面からよく取り組んでいる」などと高く評価された。

 番組は午前10時までの1時間。ラジオドキュメント部門と創作ラジオドラマ部門の上位計7作品を放送する予定。(増田咲子)

(2013年8月13日朝刊掲載)

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