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被爆4年後の市街地図 南区の古書店が復刻

■編集委員 西本雅実

 広島平和記念都市建設法が公布された60年前の1949年8月に発行された広島の市街地図を、南区の古書店「あき書房」が復刻した。事業所や商店名も記載され、原爆投下による廃虚からの復興へと歩む街の息吹も伝える地図だ。

 当時7つの川が流れていたデルタに「猿楽町」「油屋町」(中区)の旧町名、霞町(南区)に移っていた県庁などの官公庁、各事業所の場所を示す。1946年の復興都市計画で盛り込まれた現在の平和大通りや、デルタ南を貫く予定だった「もう1つの100メートル道路」などの路線を描いている。

 裏には、再建・創設間もない各事業所や、広島駅南側の「荒神湯」、横川駅近くの「旭劇場」などの広告も載る。復興へと歩みだす人口27万人の広島の様子が、縦59センチ、横84センチの復刻地図から読み取れる。

 発行は、1949年の設計コンペを経て建設が始まった平和記念公園をなす旧中島本町にあった「広島復興研究会」とあるが、作製の経緯は不明。市公文書館は、寄贈された1946年12月発行の地図を保存しているが、被爆後の復刻地図では最も早いものとなる。

 「あき書房」を営む石踊一則さん(62)が、山梨県の古書店から現物を入手し、1000部を復刻した。1部1050円。購入の問い合わせはTel082(255)1916。

(2009年5月22日朝刊掲載)

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