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萩・石見空港緊急着陸 米軍機ごう音 住民騒然 国にチェック求める声

 5日夕に突如、米海兵隊のステルス戦闘機F35B2機が益田市の萩・石見空港に降り立った。地元住民は響きわたったごう音に驚き、一帯は騒然となった。所属の米軍岩国基地(岩国市)は緊急着陸の理由を燃料切れとしつつ、飛行目的などは明らかにしていない。低空飛行の騒音問題も再燃する中、米軍の運用へのチェック機能を国に求める声も上がる=3面関連。(松島岳人、下高充生、高橋良輔)

 「ゴーッというすさまじい音がして米軍機が飛んできた。着陸直前の音は本当に恐ろしかった」と、空港近くの公園にいた益田市白上町の岡崎茂喜さん(79)は振り返る。音に驚いた住民たち約30人が集まり、パトカーのサイレンが響くなど一時騒然となったという。周辺の道路では、県警が5日午後5時ごろから関係者以外の通行を規制。空港の利用者に身分の証明や用件の確認を求めた。益田署員がパトロールするなど物々しい状況が続いた。

 6日午前に予定されていた東京便の離着陸は予定通りだった。2機はいずれも給油や安全点検を終え、同日午後0時10分ごろに同空港を離陸し、岩国基地へ帰還した。

 丸山達也知事は5日深夜、住民の安全を脅かす可能性があった事態として「誠に遺憾」とのコメントを発表。益田市は騒音問題などで連携している周辺5市町でつくる米軍機騒音等対策協議会とともに、国に再発防止などを求めるよう働き掛ける考えを示した。

 県西部では2020年以降、岩国基地の強化に呼応するように、米軍機とみられる低空飛行で騒音問題が急増した。しかし、その原因など自治体や住民が求める詳細な情報はない。

 米軍機の低空飛行と飛行騒音の即時中止を求める島根石東連絡会事務局の井上義信さん(82)=邑南町=は「燃料切れという理由は本当だろうか。米軍側は何が起きたのかきちんと説明すべきだ」と強調する。「騒音問題にも通じるが、米軍の運用にチェック機能が働いていないから問題がたびたび起こる」と日本政府の対応にも疑問を呈した。

(2021年10月7日朝刊掲載)

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