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社説・コラム

『想』 早志百合子(はやし・ゆりこ) 私のトリプルA

 「飽きず、焦らず、諦めず」。三つの「A(あ)」から始まる言葉を胸に、ストレッチ体操の指導を続けて35年。その私も、ことし傘寿を迎えます。

 超高齢化社会の真っただ中で、私が代表を務めるNPO法人では、全ての人に健康で充実した人生を送ってもらう目的で、活動を続けてきました。子どもから高齢者まで、誰でも楽しく取り組める簡単なストレッチ体操。これこそ、最近盛んに言われている「健康寿命」を延ばすために最適な運動だと、自信を持って言えます。

 今、NHK広島放送局の「ひるまえ直送便」という番組で毎週月曜日、ストレッチ体操紹介のコーナーに出演しています。タオルを使った体操を紹介したところ、「手軽なのに体が気持ちよく伸びる」などのうれしい反響が多数寄せられました。

 高齢者や運動習慣のない人にとって、仕事や家事の合間に取り組める軽い運動は、とても重宝されるのだとあらためて実感する日々です。自己流で激しい運動をすると、かえって体を痛めてしまう結果につながりかねません。心地よいと感じられる程度の軽い運動を、毎日、短時間続けていくことが大切です。

 傘寿が間近な今も、私は自分の体操教室で生徒への指導を続けながら、体操を推進するNPO法人の代表として全国各地を飛び回っています。そんな姿を見て「年をとるのが怖くなくなった」と言っていただけることがよくあります。皆さんからの言葉に、私自身「がんばろう」と元気をもらいます。

 こんな私も9歳の時、爆心地から1・6キロの近距離で被爆し、長い間原爆症に苦しみました。また50代のときには、乳がんで右乳房を全摘出、その1年後に心筋症に。80年の間に、さまざまな事がありました。今、こうして元気でいられることに感謝し、社会に貢献するのが自分の役割だと考えています。

 これからも、おしゃれ心、好奇心を忘れず、背筋をシャキッと伸ばして「明るく、楽しく、前向きに」生きていきたいと思っています。(NPO法人ステップ21健康体操代表)

(2016年2月14日中国新聞セレクト掲載)

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