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原爆症認定を代理申請 在韓被爆者支援 広島の市民団体

■記者 森田裕美 

 在韓被爆者を支援する広島の市民団体が21日、病気で来日できない在韓被爆者の原爆症認定を広島市に代理申請した。在外被爆者の原爆症認定申請は来日が要件とされている。支援者は、審査する国がこの要件を理由に申請を却下した場合、処分の取り消し訴訟を検討している。

 在外被爆者の援護をめぐっては、昨年12月の被爆者援護法改正で居住国・地域から被爆者健康手帳の交付申請ができるようになった。取得すれば、健康管理手当など各種手当を居住地から申請できる。ただ、医療特別手当支給の前提となる原爆症の認定申請は今も、同法施行令で本人の来日が必要とされている。

 この日は「韓国の原爆被害者を救援する市民の会広島支部」の豊永恵三郎支部長(73)たち4人が市原爆被害対策部を訪問。食道がんを患う大邱市の韓柱錫(ハンジュスク)さん(72)の申請書類を提出した。韓さんは8歳の時、爆心地から1.8キロで被爆。豊永支部長を頼って3月に申請のための来日を予定していたが、直前に体調を崩したという。

 記者会見した豊永支部長は、原爆症認定申請の在り方の検討と必要な措置を改正援護法の付則が求めている点を強調し「国は、重い病気の人が来日を求められる切羽詰まった実情を受け止め、すぐに改善してほしい」と訴えた。

(2009年5月22日朝刊掲載)

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