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社説・コラム

『想』 井野口慧子(いのくち・けいこ) 愛は光速の二乗で

 12月8日に尾道市瀬戸田町のベル・カントホールで「いのちの輝きセミナー2018」が開かれる。2年前の8月6日に広島市南区であった平和コンサートで、左手のピアニスト瀬川泰代さん、サックスの小田聡さんと舞台に立ちジョン・レノンの「イマジン」や原爆の絵本を朗読した。同じメンバーでのコンサートの企画が何度も予定を変え、今年のレノンの命日に決まった。

 レノンは米ニューヨークの歴史的建造物のアパート、ダコタハウスの前で1980年のその日、射殺された。これまで2度、その場に立ったことがある。2度目は4年前。友人のミヨコ・デイヴィーさんもダコタハウスに住んでいて、彼女につながる人々が出会う。その一人、米ポートランド在住の若い友人川野幸代さん(広島市出身)たちは精力的な平和運動で米国と広島を結んでいる。

 アインシュタインが娘に宛てた1400通の手紙がイスラエルのヘブライ大に寄贈されているという。その内容が世界で話題になっている。インターネットによると手紙には「世界を癒やすエネルギーは光速の二乗で増殖する愛によって獲得することができ、愛には限界がないため、愛こそが存在する最大の力であるという結論に至った」「私たちが自分たちの種の存続を望むなら(略)愛こそが唯一の答えだ」と書かれている。

 それはレノンとオノ・ヨーコさんが「イマジン」で描いた愛の世界と同じだ。地球が生き続けるための最高のエネルギーであり、何が起きても不思議ではない危うい世界を救うのは、愛。ヒロシマ、ナガサキの後も、こんな当然のことが通じない大人たちが権力、利欲のために戦争を続け、世界中の未来を背負う子どもを痛め続ける。

 12月8日には瀬戸田小6年生全員が英語で「イマジン」を合唱する。主催は尾道市のボランティア団体「はーとふるネットせとだ」や尾道市で、協力は「広島と福島を結ぶ会」。入場無料なので、お気軽に「イマジン」の世界へどうぞ。(詩人=東広島市)

(2018年11月16日中国新聞セレクト掲載)

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