上下に残る「出征」のぼり旗 「生還3分の1」悲惨さ伝える
13年8月16日
戦地に赴く若者の名を記して見送ったのぼり旗が、広島県府中市上下町小堀の賀茂神社に残っている。生還できたのは名前のある3分の1ほどという。終戦から68年。戦争の「証人」として、その悲惨さを伝えている。
社の一室に残るのぼり旗は約50枚を縫ってつなげてある。1枚は縦3メートル、幅0・6メートルから、縦1・2メートル、幅0・3メートルまで大小さまざま。名前とともに「祝 出征」「尽忠報国」などの字が並ぶ。なぜ縫い付けたかなどの経緯は分かっていない。
「太鼓やトランペットが響くなか、のぼり旗を並べて盛大に送り出していた」と、総代の平野巌さん(77)。神社に集まった住民を前に、若者は決意を述べて古里を後にしたという。
平野さんは「旗には『祝』とあるが、送り出す親の心中は計り知れないものがあっただろう。戦争はあってはいけない」と話している。(筒井晴信)
(2013年8月16日朝刊掲載)
社の一室に残るのぼり旗は約50枚を縫ってつなげてある。1枚は縦3メートル、幅0・6メートルから、縦1・2メートル、幅0・3メートルまで大小さまざま。名前とともに「祝 出征」「尽忠報国」などの字が並ぶ。なぜ縫い付けたかなどの経緯は分かっていない。
「太鼓やトランペットが響くなか、のぼり旗を並べて盛大に送り出していた」と、総代の平野巌さん(77)。神社に集まった住民を前に、若者は決意を述べて古里を後にしたという。
平野さんは「旗には『祝』とあるが、送り出す親の心中は計り知れないものがあっただろう。戦争はあってはいけない」と話している。(筒井晴信)
(2013年8月16日朝刊掲載)