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戦後の広島を生き抜く姿 24日にNHKドラマ「基町アパート」 

住人の証言軸に構成

 原爆で焼け出された人たちのために建てられた広島市中区基町の高層アパート群。住人たちの証言を軸に描いたドキュメンタリードラマ「基町アパート」をNHK広島放送局が制作し、24日午後11時から全国放送する。

 親の仕事の都合で東京から基町アパートの祖父の元を訪れた小学5年生の龍太。初めて会った祖父は中国語をしゃべった。龍太は戸惑いながらも、周囲の人との出会いの中で祖父が中国残留孤児だったと知り、被爆者の住民とも関わる中で戦争や原爆に向き合う。そんな孫の姿に、多くを語らなかった祖父も心を開いていく―。

 オール広島ロケで7月末まで撮影。アパート周辺や基町小を舞台に地元住民や児童も登場する。龍太役の加部亜門は「戦争について考えたことはなかったけど、撮影を通して、考えられないようなことが現実に起きていたことを知った」と話す。

 広島市出身の俳優杉野希妃も基町小の教諭役で出演。「広島で平和がテーマの作品に参加できてうれしい」と意気込む。台湾映画界で活躍する石雋(シーチュン)が祖父を演じるほか、中村梅雀、石橋蓮司、日色ともゑらベテラン陣も脇を固めている。

 制作統括の田辺雅泰・番組制作担当部長は、「戦後68年。復興を遂げ、様変わりした広島で、基町アパートは今と昔が線で結ばれる貴重な場所。たくましく生き抜いてきた住人の姿を家族で見てもらいたい」。中国地方では30日午後7時半からの放送もある。(松本大典)

(2013年8月17日朝刊掲載)

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