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はだしのゲン閲覧制限 松江市教委に反響281件

電話やメール 大半が抗議・苦情

 松江市教委が市内の小中学校に漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を要請していた問題で、17日までに全国から281件の意見が電話やメールで市教委に寄せられたことが分かった。大半は抗議や苦情だが、賛同の声も一部あったという。17日、職員は「予想をはるかに超える反響」と終日対応に追われた。(樋口浩二)

 「判断理由を教えてほしい」「表現の自由を侵すのではないか」。午前10時~午後6時、被爆地である広島県をはじめ東京都、京都府、沖縄県など全国から、時には数分おきに抗議の電話が鳴り響いた。数分で納得する人もいれば、抗議を約1時間半続ける人もいた。少数だが「適切な対応」とする声もあったという。

 市教委側は部課長級の3人が対応。「はだしのゲン」(汐文社発行、全10巻)6~10巻に、中国大陸での旧日本軍の行動を描いた場面など一部に暴力的な描写がある▽学校図書館では、その描写が子どもの目に触れる▽校長の許可があれば貸し出せるため、閲覧禁止ではない―などと説明を繰り返した。

 昨年12月、図書館からの撤去を求めた市民の陳情を、市議会が不採択とした点との整合性にも疑問の声が多く寄せられた。職員は「議会判断にはそぐわない問題との理由で不採択になった」と説明。市教委が独自に対応を検討し、閲覧制限を要請したとの見解を伝えた。

 281件の内訳はメール212件、電話60件、ファクス9件。午後登庁した清水伸夫教育長は「非常に重い事態。さまざまな意見には今後も責任ある対応を続ける」と話した。

 「はだしのゲン」は広島市中区出身で昨年12月19日に73歳で亡くなった漫画家中沢啓治さんの代表作。松江市教委は同月17日、市内の小中学校全52校に対し、書庫に収め自由な貸し出しもやめるよう要請していた。

(2013年8月18日朝刊掲載)

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