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大久野島毒ガス 被害者の慰霊式 50人参列し献花

 大久野島(竹原市忠海町)にあった旧陸軍の毒ガス製造工場で働いて呼吸器に障害を負うなどし、亡くなった被害者を悼む慰霊式が14日、島内の慰霊碑前であった。周辺の8市1町などでつくる大久野島毒ガス障害者対策連絡協議会の主催で、遺族や被害者たち約50人が参列した。

 同協議会会長を務める竹原市の今栄敏彦市長が、昨年9月から約1年間に亡くなった28人の名前を加えた4055人分の死没者名簿を慰霊碑に奉納。「今後とも毒ガス障害者に対する施策の改善、医療制度の充実強化に向けて全力を尽くしたい」と述べた。参列者は黙とうし、献花した。

 県によると、国の健康管理手帳を持つ被害者は1004人で、平均92・4歳(1日現在)と高齢化が進む。参列した藤本安馬さん(95)=三原市=は養成工として製造に携わった。「ここが『毒ガスの島』だったという事実を忘れてはならない。戦争が二度と起こらないよう、若い人に思いを受け継いでもらいたい」と願った。(渡部公揮)

(2021年10月15日朝刊掲載)

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