「がんす横丁」シリーズ がんす横丁 (二十三)カラコを買いにござった㊤
17年2月5日
文・薄田太郎 え・福井芳郎
あのころの広島の街角や、がんす横丁、そして小路で見かけた子供たちの遊戯のうちに「カラコ遊び」がある。このカラコ(唐子)は長崎から移入した広島言葉らしく、唐子は人形の意味で、この遊びには次のような童唄(わらべうた)がある。
とん、とん、とん(戸を叩(たた) く表現)、
どなた(誰か)、
中の棚の七兵衛さん、
何に買いにござった、
カラコを買いにござった、
何もんめで買やる(買うの かの意)
と歌うと、一人の子供が「七もんめで買う」と言い、次から次へとカラコの値段をセリあげると、最後にはこれ以上はないという意味を表現するために、大手を高く拡(ひろ)げて「天ところ一パイ」と言う。この「てんところいっぱい」の言葉も、広島人には懐しい影絵を見るような言葉である。
このカラコ遊びは「天ところ一パイ」で一応買い手と売り手の話し合いがつくと、カラコになった子供たちが一列に並んで、買手に腹の上を押えられて、それぞれ「キュウ」とか「ポン」とか泣き声を出す。やがて買手は一人のカラコを選んで「これを買います」と言う。ついで「近所へ買物に行きますから、カラコを預って下さい」と言って、カラコを売手に預ける。
次にいろいろと言葉のやりとりがあって、やがて売手はカラコを逃がすと、買手はこれを追いかけてゆくという一種の鬼ごっこ遊びである。歌のはじめにある「中の棚の七兵衛さん」は東部の歌で、これが西部では「市のなかの長兵衛さん」と変っているのも面白い。
また、下駄(げた)かくしの遊びには次のような歌がある。
下駄がくしの豆よ、
せせらと言われて、
菜も葉もとくべ(とくべは 徳兵衛、徳兵衛と二度も繰 り返される)、
まな板に包丁、
梅干ちょっと来い
と、いとも軽快な気持ちで歌ったことを思い出すが、この童唄も広島らしい独得(どくとく)のカラーがあった。
(2017年2月5日中国新聞セレクト掲載)
あのころの広島の街角や、がんす横丁、そして小路で見かけた子供たちの遊戯のうちに「カラコ遊び」がある。このカラコ(唐子)は長崎から移入した広島言葉らしく、唐子は人形の意味で、この遊びには次のような童唄(わらべうた)がある。
とん、とん、とん(戸を叩(たた) く表現)、
どなた(誰か)、
中の棚の七兵衛さん、
何に買いにござった、
カラコを買いにござった、
何もんめで買やる(買うの かの意)
と歌うと、一人の子供が「七もんめで買う」と言い、次から次へとカラコの値段をセリあげると、最後にはこれ以上はないという意味を表現するために、大手を高く拡(ひろ)げて「天ところ一パイ」と言う。この「てんところいっぱい」の言葉も、広島人には懐しい影絵を見るような言葉である。
このカラコ遊びは「天ところ一パイ」で一応買い手と売り手の話し合いがつくと、カラコになった子供たちが一列に並んで、買手に腹の上を押えられて、それぞれ「キュウ」とか「ポン」とか泣き声を出す。やがて買手は一人のカラコを選んで「これを買います」と言う。ついで「近所へ買物に行きますから、カラコを預って下さい」と言って、カラコを売手に預ける。
次にいろいろと言葉のやりとりがあって、やがて売手はカラコを逃がすと、買手はこれを追いかけてゆくという一種の鬼ごっこ遊びである。歌のはじめにある「中の棚の七兵衛さん」は東部の歌で、これが西部では「市のなかの長兵衛さん」と変っているのも面白い。
また、下駄(げた)かくしの遊びには次のような歌がある。
下駄がくしの豆よ、
せせらと言われて、
菜も葉もとくべ(とくべは 徳兵衛、徳兵衛と二度も繰 り返される)、
まな板に包丁、
梅干ちょっと来い
と、いとも軽快な気持ちで歌ったことを思い出すが、この童唄も広島らしい独得(どくとく)のカラーがあった。
(2017年2月5日中国新聞セレクト掲載)