×

社説・コラム

『想』 小川晴基(おがわ・はるもと) インバウンドを想(おも)う

 国の政策として、初めてインバウンド(訪日外国人観光客)誘致を位置付けたのは、2003年に始まったビジット・ジャパン・キャンペーンです。当時のインバウンドはまだ521万人でした。13年、インバウンドは10年かけてようやく2倍の1千万人に増加しました。そして昨年は、インバウンドにとってエポックメイキングな年となりました。

 一つ目は、円安傾向という追い風も相まって、わずか2年でインバウンドが2倍増の1974万人となったことです。20年の政府目標としていた「2千万人」に近い数字が5年前倒しで達成されるという、うれしい結果となりました。中国地方においても、4年前と比べ外国人延べ宿泊者数は2倍、大型クルーズ客船の入港回数は6倍、免税店の数も8倍へと大きく増加しています。二つ目は、大阪万博開催の1970年から数えて、実に45年ぶりにインバウンドがアウトバウンド(出国日本人数)を上回り逆転したことです。

 さて16年は、先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)の外相会合が広島市で、また教育相会合が倉敷市で開催されるとともに、原爆ドーム(広島市中区)と厳島神社(廿日市市宮島町)が世界文化遺産に指定されてから20周年を迎える節目の年でもあります。このタイミングを捉え、瀬戸内や山陰地方において観光推進に取り組む新たな組織(DMO=デスティネーション・マネジメント・オーガナイゼイション)の設立が計画されています。また、政府が推進する地方創生の分野においても、中国地方で大きな成長要素となるのは観光であり、とりわけ、近年著しく成長しているインバウンド観光に注目が集まります。

 中国運輸局では、あらゆる機会を活用して、中国地方の各地域の魅力について情報発信を行うとともに、観光交流を通じた地域の活性化、人材の確保・育成、周遊・滞在型観光や体験型観光等の発掘・支援などを推進し、地域に貢献して参ります。(中国運輸局長)

(2016年3月27日中国新聞セレクト掲載)

年別アーカイブ