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グーグル「歴史アーカイブ」 被爆の実相 新たな発信

 広島、長崎市の二つの原爆資料館は19日、米インターネット検索大手のグーグルが歴史上の記録を公開するサイト「歴史アーカイブ」で収蔵資料の公開を始めた。国内施設では初めて。犠牲者の遺品や普段は非公開の資料など計232点が並ぶ。

 広島からは、収蔵する2万1千点のうち55点を四つのテーマで紹介。常設展示を写真と文章で再現した「ヒロシマ」には原爆投下の午前8時15分で止まった時計などを載せた。

 残る3テーマは年2回の収蔵資料展を基にした「失われた街を偲(しの)んで」「8月5日、最後の日記」「最期の言葉」。原爆投下前日の女子学生の日記などが並ぶ。

 長崎からは177点。原爆投下から復興までを解説した「都市の破壊」と「長崎原爆と浦上天主堂」「長崎原爆と植物」の3テーマでまとめている。

 歴史アーカイブは昨年開設され、歴史的な出来事を各国の博物館に展示されている資料の画像に説明文を組み合わせて紹介するプロジェクト。ネット上で無料で見ることができる。現在はアウシュビッツ強制収容所など、14カ国の40の博物館の資料を公開している。

 広島市で開かれた記念式典で、松井一実市長は「広島を訪れることが難しい人も核兵器廃絶の思いを共有できる」と意義を強調。グーグル製品開発本部の徳生健太郎本部長は「世界中の人々に被爆の実態に触れてほしい」と話した。(加納亜弥)

(2013年8月20日朝刊掲載)

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