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「はだしのゲン」58市町村は閲覧可能 広島・山口・島根 「図書館の自由」を尊重

 島根県松江市教委が漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を小中学校に要請していた問題で、広島、山口、島根の3県では、松江市と担当者が不在だった出雲市、島根県奥出雲町以外の計58市町村教委が閲覧制限の要請や指示をしておらず、今後も予定していないことが19日、分かった。中国地方の5県教委も同様に制限をしていない。

 はだしのゲンを学校の図書室や教室に置いたり、貸し出したりすることを制限しているかどうかを同日、中国新聞社が聞いた。

 広島県の全23市町教委と山口県の全19市町教委、島根県の16市町村教委は各校に要請も指示もしていない。大竹市教委の大石泰教育長は「長い間、読み継がれてきた名作。問題になったことはない」と話した。

 5県教委も制限をしていない。広島県教委は「日本図書館協会の『図書館の自由宣言』は図書館に資料の収集、提供の自由を保障している。国民の知る権利をむやみに制限をしてはならない」と説明する。

 学校の図書室の図書選定は、基本的に各校に委ねられている。山口県教委は「各校が購入時にふさわしいか判断している」、島根県教委は「どの図書を選び配架するかは学校図書館の自由」との見解を示した。

 はだしのゲンを平和学習の教材で活用している広島市教委。学校に置く児童、生徒向けの本は各校の教職員たちが議論し、校長が最終決定する。市子どもの読書活動推進計画や学校図書館法に照らし合わせているという。

 各県、市町村教委への聞き取りで、他に学校の図書室で閲覧が制限されている本はなかった。

(2013年8月20日朝刊掲載)

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