×

ニュース

閲覧制限撤回の可能性 「はだしのゲン」で松江市教育長言及 あす委員と議論

 島根県松江市教委が小中学校に漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を要請していた問題で、市教委の清水伸夫教育長は20日、中国新聞の取材に対し「要請を貫くか撤回するかどちらかだ」と述べた。全国から閲覧制限への批判が強まる中、初めて要請を撤回する可能性に言及した。(樋口浩二)

 今後の決定については「個人的には教育委員会に諮りたい」と表明。22日に開く教育委員会議(内藤富夫委員長)で経緯を報告し、自身を含む委員5人で議論する見通しを示した。

 一方で「拙速な意思決定は避けたい」との理由から、22日に議案として結論を出すかどうかは「教育委員長と協議する」と述べるにとどめた。内藤委員長はこの日「重大な事態と受け止めている。慎重に議論を重ねたい」と話した。

 この問題に関し、市教委へ20日までに全国から電話やメールで寄せられた意見は、抗議を中心に1867件に上った。清水教育長は「厳しい反応が多く重く受け止めている」とした上で「対応を決める判断材料にする」と述べた。

 また市教委は20日、図書館を持つ市内の49小中学校に要請への対応状況と校長の見解を聞いたアンケート(19日発送)を回収した。公表は控えたが、要請への賛否が寄せられたとみられる。

 ある小学校長は、昨年12月の最初の要請では閲覧制限を見送ったが、ことし1月の再要請後には従ったという。校長は「『ゲン』には過激な描写もあるが、戦争の悲惨さや平和の尊さへの思いが込められている。子どもが自由に読める環境に戻してほしい」と話した。

(2013年8月21日朝刊掲載)

年別アーカイブ