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被爆体験 絵筆で継承 基町高生の制作始まる

 基町高(広島市中区)の生徒が被爆者の証言を絵画で表現する「原爆の絵」の本年度の制作が始まった。今後、生徒と被爆者が対話を重ね、約8カ月かけて作品を仕上げる。

 同高で18日、参加する創造表現コース1、2年の生徒11人と被爆者6人の顔合わせがあった。被爆者1人に対し生徒1~3人のグループに分かれ、証言活動に使う地図やスライド資料を見ながら被爆の状況などを聞いた。

 2度目の参加となる山本定男さん(90)=東区=は広島二中(現観音高、西区)2年の時に被爆。救護テントで手当てを受ける大やけどをした女性をはじめ、当時目撃した悲惨な光景を描いてほしいと依頼した。

 担当するのは1年の日高乃愛(のあ)さん(16)と伊藤早利(さり)さん(15)。日高さんは「描けるか不安もあるけど、資料も調べて証言が伝わる作品にしたい」。伊藤さんは「山本さんの心に寄り添い、二人三脚で制作していきたい」と話していた。

 「原爆の絵」の制作は原爆資料館(中区)が2007年度から同高に依頼。これまでに171点が完成し、被爆者の証言活動や県内外での展示に活用されている。(明知隼二)

(2021年10月22日朝刊掲載)

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