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「黒い雨」原告団解散 訴訟外の被害者支援へ

 広島への原爆投下後に降った「黒い雨」を巡る訴訟で、原告団の解散が24日、決まった。原告84人全員を被爆者と認めた7月の広島高裁判決が確定し、政府が原告以外の黒い雨被害者も救済する方針を打ち出したのを踏まえた。

 原告や支援者でつくる「訴訟を支援する会」が広島市中区で総会を開き、原告団の解散を決定した。弁護団の竹森雅泰弁護士は「判決は内部被曝(ひばく)の深刻な健康影響を明らかにした」と強調。原告団長の高野正明さん(83)=佐伯区=は「皆さんの支援のおかげで国が動いた」と感謝した。

 総会には約60人が出た。会は今後、名称を「『黒い雨』被害者を支援する会」(仮称)に変更。原告たちは相談員として、雨が降ったとされる地域ごとに、被害を訴える人の被爆者健康手帳の交付申請を支える。

 高裁判決は、雨が国の援護対象区域より広範囲に降ったと認定し、原告84人全員への手帳交付を命じた。菅義偉首相(当時)は上告を断念し、原告以外も救済するとの首相談話を閣議決定した。(松本輝)

(2021年10月25日朝刊掲載)

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