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社説・コラム

[私の視点 2021衆院選] 核廃絶 「核政策を知りたい広島若者有権者の会(カクワカ広島)」共同代表 田中美穂さん(27)=広島市西区

具体策を明示し議論を

 今年発効した核兵器禁止条約は、核兵器そのものを非人道的で違法とみなした画期的な条約。二つの被爆地がある日本の署名・批准は当然なのに、背を向けている。「核兵器保有国が参加していない条約は実効性に乏しい」との見解だが、保有国を説得する姿勢はなかなか見えない。条約に参加せずに廃絶を進めるのならば、その具体的なロードマップ(行程表)を示してほしい。

 ≪広島県内在住や出身の若者たち15人でつくるカクワカ広島。2019年以降、広島県選出・出身の与野党の国会議員や国政選挙の候補者に、核政策を問うアンケートや面会を繰り返してきた。結果はインターネットで公開している。≫

 面会できた議員の多くは条約の理念に賛同する一方、日本の批准には賛否が割れた。首相になった岸田文雄氏には、繰り返し面会やアンケートを依頼しているが、断られ続けている。広島を選挙区とする首相には問い続ける必要がある。

 「核兵器廃絶を目指す」「ライフワークとして取り組む」と話す議員は多いが、自身の政策はあまり見えてこない。政府見解を繰り返すのではなく、核兵器をなくす具体策をそれぞれ明示し、国会の場で議論してほしい。私たち有権者はそれを注視していく。

 ≪日本政府は核兵器保有国と非保有国の「橋渡し役」を担うとしてきた。ただ、来年に予定される条約の締約国会議へのオブザーバー参加には慎重だ。≫

 クラスター弾や対人地雷の禁止条約は、保有国が参加しなくても日本は加わり、禁止の流れをつくることに寄与した。日本が核兵器禁止条約に参加しても、国際的な分断を深めないのではないか。保有国にも参加するよう説得してほしい。(聞き手は小林可奈)

(2021年10月26日朝刊掲載)

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