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原爆ドーム包む鎮魂歌 被爆二世作曲家が新作 児童・生徒31日合唱

■記者 水川恭輔

 児童、生徒約100人の合唱団が31日、広島市中区の平和記念公園そばを流れる元安川の川岸で鎮魂歌を歌う。佐伯区出身で被爆二世の作曲家佐村河内(さむらごうち)守さん(45)が新たに作曲した「レクイエム・ヒロシマ」。64年前の惨状を刻む原爆ドームに向け平和への深い祈りを表現する。

 出演するのは、広島少年合唱隊、広島ジュピター少年少女合唱団、広島ジュニアコーラスと、崇徳高(西区)、呉港高(呉市)の希望者。エリザベト音楽大非常勤講師で指揮者を務める榊原哲さんが指導し、広島市内のスタジオなどで練習を続けている。

 約6分間の曲に歌詞や伴奏はない。壮麗な調べを「ア」の発声だけで歌う。佐村河内さんからは「被爆という『闇』に思いをはせ、言葉だけでは表せない深い祈りを伝えてほしい」と助言を受けた。

 佐村河内さんの小学校時代の恩師である小方中(大竹市)の押川貞生校長が昨年9月、教え子が被爆地でのレクイエム初演を目指していると知り、合唱団などに呼び掛けた。当日は各団体、学校ごとに持ち歌を披露する。

 広島少年合唱隊の江波中1年山本尚輝君(12)は「原爆のことを勉強して、自分が感じた平和の願いを声に込めたい」と誓っていた。開演は午後3時。そばで佐村河内さんが見守る。

佐村河内守氏
 1963年、広島市佐伯区出身。被爆二世。4歳でピアノを始め、独学で作曲を身につけた。35歳で聴力を失ったが「絶対音感」による記譜で作曲を続ける。2003年、核兵器廃絶の願いを込めた「交響曲第一番」を作曲。2008年9月に広島市で開かれた主要国(G8)下院議長会議(議長サミット)記念コンサートで演奏された。同年11月、広島市民賞を受賞した。横浜市在住。

(2009年5月24日朝刊掲載)

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