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松江市議会陳情の男性、市教委にも3回撤去要請 「はだしのゲン」閲覧制限

 松江市教委が「はだしのゲン」の閲覧制限を小中学校に要請した問題で、市教委が制限を検討する発端となった学校図書館から「ゲン」撤去を求める陳情を市議会に提出した男性が、昨年8月の陳情前に3回、市教委へ撤去を申し入れていたことが21日、分かった。島根県教委にも同様の要請をしていた。

 市教委によると、昨年の4月16日、同20日、5月1日に男性が申し入れに訪れた。最初の訪問で、日本兵が戦場で首を切る描写などを「事実ではない」と主張したという。

 男性の再訪を受けた市教委担当者は「幅広い視点の書籍を置くことで情報を選択する力や学ぶ力を育てる」と主張。撤去を指示しない意向も伝えた。

 3度目は男性が男女を伴い市教委を訪問した。3回の訪問のやりとりを男性側は録画、録音。動画サイトへの投稿も確認された。

 県教委にも昨年5月1日、陳情者を含む男女が訪問。「学校図書館から撤去するべきだ」と繰り返したという。この様子も投稿され、県教委によると「業務に影響が出るほど大量の電話やメールが寄せられた」という。

 男性は同8月、市議会に「ゲン」撤去を求める陳情を提出。同12月に不採択となった。以降、市教委は2回「暴力的な描写」を理由に、閲覧制限を小中学校に求めた。市教委は「独自の判断」とし、男性側の意向への配慮を否定している。(石川昌義、樋口浩二、明知隼二)

(2013年8月22日朝刊掲載)

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