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文科相発言に広島の被爆者ら反発 はだしのゲン閲覧制限の動き拡大懸念

 下村文科相が21日の記者会見で、「はだしのゲン」をめぐる松江市教委の対応を是認する発言をしたのを受け、広島の被爆者たちは閲覧制限の動きが他にも広がる恐れを懸念した。

 広島県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之事務局長(71)は「文部行政トップの発言だけに、全国の学校に閲覧制限が広がりかねない」と憤りを隠さない。作品について「実際に起きた原爆の悲惨さを伝えるのが全体のメッセージ。規制する必要は全くない」と強調した。

 もう一つの県被団協(金子一士理事長)の大越和郎事務局長(73)も「過激な描写があったとしても受け取り方は人それぞれ。教育的配慮の名目で何でも規制するのはおかしい」とし、「文科相の発言も教育現場に介入するようで越権行為ではないか」と批判した。

 原爆資料館前館長の前田耕一郎さん(64)は「原爆のおぞましい被害を正面から取り上げた作品なのに、原爆以外の『過激な描写』ばかり問題視するのは違和感がある。全体を読んで発言してほしい」と指摘した。(岡田浩平、田中美千子)

(2013年8月22日朝刊掲載)

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