はだしのゲン閲覧制限に疑問相次ぐ 松江市教育委員会議
13年8月23日
松江市教委が漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を小中学校に求めていた問題。22日の教育委員会議に出席した委員5人からは会見で、閉架と貸し出し制限を求めた市教委の対応への疑問が相次いだ。会議は市内外から80人が傍聴し、関心の高さをうかがわせた。(明知隼二、石川昌義)
閲覧制限について、県教委義務教育課長を務めた間田浩彬委員(元中学校長)は「本来は学校が主体的に判断するべき事項。(市教委の要請は)異例の働き掛けだ」と述べた。
布野由美委員(松江北高PTA副会長)は「多くの校長が制限に疑問を持っており、再考する必要がある」と述べ、学校現場と市教委事務局との意思疎通不足を指摘した。
作品内容について、内藤富夫委員長(島根大名誉教授)は「著者の主張には過激な部分もあるが、その良しあしは、外から言うことではない」と明言。間田委員も「歴史の捉え方の是非に踏み込むのは適切ではない」と主張した。
一方、「暴力的な描写」を理由とした市教委の対応に理解を示す意見も出た。桜井照久委員(医師)は「子どもにトラウマ(心の傷)が残ると困る」と発言。ことし5月に就任した清水伸夫教育長は「暴力シーンは気に掛かる。発達に応じた配慮が必要かもしれない」とした。
閲覧制限の撤回を求めてインターネット上の署名運動に取り組み、約2万件の賛同を集めた堺市の学童保育指導員樋口徹さん(55)も審議を傍聴した。「表現の自由に関わる重大な問題。即時撤回が必要だ」と訴えた。
一方、閲覧制限の発端となった市議会への陳情を行った男性に同行し昨年5月、市教委に「ゲン」撤去を申し入れた出雲市の男性(54)は「歴史的事実と異なる記述を放置するべきではない。しっかりと議論する必要がある」と求めた。
(2013年8月23日朝刊掲載)
閲覧制限について、県教委義務教育課長を務めた間田浩彬委員(元中学校長)は「本来は学校が主体的に判断するべき事項。(市教委の要請は)異例の働き掛けだ」と述べた。
布野由美委員(松江北高PTA副会長)は「多くの校長が制限に疑問を持っており、再考する必要がある」と述べ、学校現場と市教委事務局との意思疎通不足を指摘した。
作品内容について、内藤富夫委員長(島根大名誉教授)は「著者の主張には過激な部分もあるが、その良しあしは、外から言うことではない」と明言。間田委員も「歴史の捉え方の是非に踏み込むのは適切ではない」と主張した。
一方、「暴力的な描写」を理由とした市教委の対応に理解を示す意見も出た。桜井照久委員(医師)は「子どもにトラウマ(心の傷)が残ると困る」と発言。ことし5月に就任した清水伸夫教育長は「暴力シーンは気に掛かる。発達に応じた配慮が必要かもしれない」とした。
閲覧制限の撤回を求めてインターネット上の署名運動に取り組み、約2万件の賛同を集めた堺市の学童保育指導員樋口徹さん(55)も審議を傍聴した。「表現の自由に関わる重大な問題。即時撤回が必要だ」と訴えた。
一方、閲覧制限の発端となった市議会への陳情を行った男性に同行し昨年5月、市教委に「ゲン」撤去を申し入れた出雲市の男性(54)は「歴史的事実と異なる記述を放置するべきではない。しっかりと議論する必要がある」と求めた。
(2013年8月23日朝刊掲載)