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箕牧さん 新理事長に 坪井さんを追悼 広島県被団協が総会

 先月24日に96歳で亡くなった坪井直さんが理事長を務めてきた広島県被団協は1日、本年度の総会を広島市中区で開いた。「ヒロシマの顔」として被爆の実態を伝えてきた坪井さんを追悼。理事長代行の箕牧(みまき)智之さん(79)=同県北広島町=を後任の理事長に決め、核兵器廃絶と被爆者援護を求める活動の継続を誓った。

 総会は例年5、6月に開くが、新型コロナウイルスの影響で延期していた。この日は県内の地域組織の被爆者たち約40人が出席。会場に坪井さんの遺影を置き、全員で黙とうした。

 1日付で箕牧さんを後任に充てる提案が役員から出て、参加者が拍手で承認した。坪井さんが務めてきた日本被団協の代表委員も箕牧さんを推薦する。代表委員は広島、長崎と関東エリアから各1人を選んでいる。

 箕牧さんは3歳の時、広島駅に勤めていた父を捜す母に連れられて入市し被爆した。近年は坪井さんが高齢と病気のため行事参加を控える中、街頭での署名活動などをリード。19年から理事長代行を務めていた。「責任は重かつ大。被爆者救済と核兵器廃絶のため、『坪井さんならこんなときはどうされるか』と考えながら私流で訴えていく」と力を込めた。

 ほかの被爆者も坪井さんをしのんだ。植田雅軌(まさのり)副理事長(89)=呉市=は「黙とうしながら、被爆者相談のため一緒に中国地方を巡ったことを思い出した。倒れても転んでも闘わなければ」。三原市原爆被害者之会の苞山(ほうやま)正男会長(92)は「被爆実態や坪井さんの遺志を伝え続け、被爆2世とともに活動を発展させる道を探りたい」と見据えた。(水川恭輔、明知隼二)

(2021年11月2日朝刊掲載)

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