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演劇や展示で平和発信 若者や市民団体 初の文化イベント 中区 園児ら踊って命の尊さ訴え

 若者や市民団体が平和への思いを発信する「市民平和文化イベント」が3日、広島市中区の広島国際会議場であった。市が今年から毎年11月を平和文化月間と定めたのに合わせ、広島平和文化センター(中区)とともに初めて企画。県内の10団体が演劇や合唱、平和学習の成果を発表した。(小川満久)

 杉並台幼稚園(佐伯区)の園児と卒園生21人は音楽劇「ぞうれっしゃがやってきた」を披露した。戦時下を生き延びた2頭のゾウを飼育する東山動植物園(名古屋市)に全国の子どもが特別列車で訪れた戦後間もない頃の実話が題材。園児たちは地元オカリナグループの演奏に合わせて踊り、愛らしい歌声を響かせた。

 原作となった同名絵本の作者小出隆司さん(83)=名古屋市中村区=も登壇し、「これからも子どもと手を携え、命や平和の尊さを訴えていきたい」と語った。

 中国新聞ジュニアライターの中高生10人は被爆者や平和活動団体を取材し、中国新聞の紙面で紹介してきた様子をスクリーンに映し出して発表。世界遺産登録から25年を迎えた原爆ドームについてクイズ形式で紹介し、来場者と交流を深めた。

 会場には、銅板の折り鶴を作れる広島市立広島工業高(南区)の体験ブースや平和記念公園の慰霊碑ガイドをする市立大(安佐南区)のサークルの活動を紹介する展示も並んだ。来場した被爆者の武田弘さん(84)=安芸区船越=は「若者が頼もしく感じた。悲惨な戦争や原爆による過ちを二度と繰り返してはならない」と話していた。

(2021年11月4日朝刊掲載)

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