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映像で核廃絶訴え カザフのTVが広島取材 「反核の輪」若者交流に焦点

 旧ソ連時代に繰り返された核実験で多くの被曝(ひばく)者を生んだカザフスタンの国営テレビのスタッフが、被爆地広島を取材のため訪れた。核兵器廃絶を訴える約25分のドキュメンタリー番組を制作。国内にあった旧ソ連最大のセミパラチンスク核実験場の閉鎖が宣言された29日に合わせて放送する。(増田咲子)

 プロデューサーのイエルキン・バイガブルウルさん(41)ら3人。在日大使館書記官の通訳で、カザフスタンから20人の留学生を受け入れてきた山陽女学園(廿日市市)の石田孝樹理事長(65)らにインタビューし、広島市中区の平和記念公園や原爆資料館も取材した。

 石田理事長には、留学生支援の経緯などを質問。石田理事長は「カザフスタンの核兵器廃絶に向けた動きを心強く思う。留学生受け入れを通して平和への貢献ができれば」と答えていた。

 被曝者への医療支援を続ける市民団体ヒロシマ・セミパラチンスク・プロジェクトの平岡敬名誉会長(85)にも取材。平岡氏は「次世代に(核被害の)体験を引き継ぎ、カザフスタンと日本の若者が交流することが大事だ」と話していた。

 セミパラチンスク核実験場近くの村出身というバイガブルウルさんは「ヒロシマとカザフスタンは、原爆と核実験という同じ核被害を受けたつながりがある。反核の輪を世界に広げたい」と番組に込めた思いを語った。

 広島での取材は、国を挙げて核兵器廃絶を目指すカザフスタンの取り組みを取り上げる番組の中に盛り込む予定。スタッフは12~15日、日本を訪れた。

(2013年8月26日朝刊掲載)

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