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米テキサス大で原爆写真展 やけど・きのこ雲・焦土…「核戦争の代償知って」

 米国テキサス州にあるテキサス大付属の歴史博物館ブリスコー・センターで、原爆投下後の広島、長崎の惨状を伝える写真展が開かれている。同館は「核戦争が人間にどんな代償をもたらすのか、多くの人に知ってほしい」としている。

 全身を焼かれた市民、立ち上るきのこ雲、焦土と化した街並みなど、被害の実態を克明に伝える52点が並ぶ。撮影者はいずれも日本人で、米国では知られていないカットが多い。これとは別に、神奈川県在住の写真家江成常夫さん(85)が撮影した被爆者の遺品などの写真17点も展示している。

 同館は、原爆写真の収集・保存に取り組む「反核・写真運動」(事務局・埼玉県朝霞市)が刊行した写真集に触発され、2018年から2年がかりで画像データを収集。被爆75年の20年8月、写真集を出版した。米紙や欧州の雑誌で紹介され、重版も実現した。写真展も同時開催予定だったが、新型コロナウイルス禍の影響で1年延期し、今回の開催にこぎ着けた。来年1月28日までの予定だ。

 同センターのドン・カールトン館長は「米政府は意図的に原爆被害の実態を伝えてこなかった」と指摘。「写真はより効果的に正しく、核兵器の脅威を伝えてくれる。次なる核戦争を防ぐためにも、多くの学生や市民に学びの場を提供したい」と話している。(田中美千子)

(2021年11月8日朝刊掲載)

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