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ヒバクシャ支援 在り方討論「核なき世界基金」1周年

 カトリック広島司教区と長崎大司教区などで昨年設立した「核なき世界基金」は10月30日、1周年記念行事「世界のヒバクシャとともに―支援のあり方を考える」を長崎市内で開き、オンラインでも中継した。

 核兵器禁止条約は兵器の全面禁止に加え、被害者支援と環境汚染への対応で締約国が協力し合うと定めたことが特徴だ。来春の第1回締約国会議を念頭に、原爆被害の医学的研究や被爆者援護の経験がある日本こそすべき貢献について、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))の川崎哲国際運営委員らが討論した。

 長崎の朝長万左男医師は、長崎大が携わるモンゴルのウラン鉱周辺地域での健康調査を例に「被害者支援や調査は、一国での取り組みを超える」と指摘。包括的核実験禁止条約(CTBT)のように核兵器禁止条約も常設の実施機関を設置するよう提案した。

 広島市のNPO法人ANT―Hiroshimaの渡部朋子理事長は、世界の核被害者と連帯した実績として、6年前の「世界核被害者フォーラム」開催について報告。明星大(東京)の竹峰誠一郎教授は、被爆者援護法に基づく日本の制度が海外で参考になるとした上で「私たちが各国の補償制度から学ぶべきことも多くある」と語った。

 広島の白浜満司教と、長崎の高見三明大司教も登壇し「世界の核被害者とつながっていくためにも基金を大きくしたい」などと語った。同基金は、締約国会議に向けて具体的な提言をまとめる予定だ。

 議論の模様を動画で公開している。https://youtu.be/P931wーcVXNg(金崎由美)

(2021年11月8日朝刊掲載)

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